1985年
日本の70%は緑に被われた山地であり、世界でも稀に見る豊かな四季の変化に富む景観を楽しむ事が出来る。
古来、日本列島に住む人々は山や森の恩恵に恵まれ、且つ様々な自然形象を畏敬してきた。
そこに日本古来の山岳信仰に神道と仏教が結びつき神仏習合、修験道として発展したのは必然の結果とも言えよう。
本研究では日本の山岳寺院、神社の境内構成を宗教的視点よりも主として造形的な空間構成(景観論)的視点としての研究である。
北は恐山から九州の阿蘇山まで日本全国50の山岳寺社を実地調査、分析して明らかにしたのは、その境内構成は自然地形にそって不規則に造られているのではなく、特定の構成パターンが見られ、そこには『景観』が重要な要素になっていたことであった。